アオリイカの産卵時期と回数、そして精莢って何!?

アオリイカの産卵時期がやってきました。それに伴って春イカを釣ろう!というアングラーの方もいらっしゃるかと思います。今回はアオリイカの産卵時期と回数、精莢などといった交接にまつわる仕組みを解説したいと思います。

■産卵時期について

●12月末〜7月

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産卵時期について、これは全国的に地域差があるかもしれませんが、私の知っている限り、12月末〜7月です。そもそもアオリイカが年魚(一年で一生を終える)だと言うことは近年認知が進んだかと思いますが、アオリイカの産卵時期はとても長く約半年に渡ります。アングラーの方がよくこんな時期に小さいイカが釣れるのはおかしいなど、色々と意見が交錯しますが、産卵の時期が長いのでサイズがバラバラになるのは実は当たり前だったりするのです。

 

では次の項目は知らない方も多いと思います。

■産卵の回数

●同じメスが10回産卵をする

産卵回数というお話をします。先程の話で産卵の時期が長いというのは知って頂けたかと思いますが、では産卵をご存知でしょうか?アオリイカのメスは同じ個体が、

 

「約10回にわけて卵を産みつけます」

 

一回の産卵で約800卵を産みつけるのですが、調子の良いメスだとこの産卵を10回ほど行います。次の産卵までの間は1-2週間といったところが通常です。なので同じメスだったとしても最初と最後の産卵で最低でも3ヶ月は間が空くので、産卵時期が長くなるのは当然なのです。

 

ちなみに私が観察してきた中では調子の良い個体で5回程の産卵を確認しました。

■精莢とはイカの精子

●カプセルをメスの口球まわりに付ける

精莢をご存知でしょうか?百聞は一見にしかずということでこちらが精莢です。

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よく見るとカプセルのようなものに入っているのがお分かりかと思います。これに刺激を与えると、

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中から精子が飛び出してきます。

 

よくアニサキスなのではないか?と聞かれるのですがこれはイカの精子にあたります。アニサキスではありません。

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精巣で造られた精莢は漏斗を通って体外に出るのですが、

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オスのアオリイカは腕(第4腕が多い)で持ってこれをメスの口球まわりにつけていきます。

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先にも書きましたが、この精莢はカプセル状になっていて、端にある石灰質の接着体によりメスの口球外唇部や受精嚢に突き刺さる仕組みになっているのです。

■交接のタイプ

●ツツイカ類 渡す コウイカ類 合体

交接とは聞きなれない方も多いかと思いますが、イカの交尾のことを交接と呼びます。先の項目でも出てきましたがオスのイカは産卵期になるとメスの口球まわりに精莢を付けます。この付け方がイカの仲間では2つに分かれます。

 

アオリイカやケンサキイカ、スルメイカなどのツツイカ類は第4腕を使用してメスに渡すのですが、

 

コウイカやカミナリイカ、シリヤケイカなどのコウイカ類はオスとメスが握手をするように腕を絡ませて口球を接続します。コウイカ類の交接方法の場合、先に植え付けてあった精莢を書き出して、自分の精莢を生み付けるとも言われています。