トウゴロウイワシは夏から秋口に沿岸域にびっしりとやってくるギンイワシ属に属する魚です。主に大型魚の餌となることが多い魚です。三重県下ではブリやヒラスズキの餌となることが多いです。
さて、先日釣ったヒラスズキもこちらのトウゴロウイワシに着いていた魚だったのですが、餌となっているこのトウゴロウイワシ自体を釣ってみようというのが今回の企画です。
■まずは群れ探し
●いろんな漁港や浜をくまなく見て回る
トウゴロウイワシを釣るにあたってまずは群れを探すことから始めました。秋であるこの時期はどこにも居る可能性が高いのですが、場所によって群れの濃い薄いがありますのでできるだけ濃い群れを探します。
何か所か回ってとある漁港に濃いトウゴロウイワシの群れを発見しました!
■延べ竿でやってみます
●エサはオキアミを細かくして:針は極小針
トウゴロウイワシを釣るのに用意したのは先日購入した延べ竿です。餌はオキアミを用意しました。針はトウゴロウイワシの小さな口を想定して、赤虫などに使う極小針を用意しました。
■意気揚々と群れの中に投入しかし・・
●群れは分裂するかのように仕掛けを避けた
仕掛けがセットできたので、目の前を泳ぐ群れに投入してみました。どんな反応をするのか?入れ食いになるかな?などと期待をしながら投入してみると…足元を泳ぐ巨大な群れは分裂するかのように仕掛けを避けながら過ぎ去っていきました。
これは難しい釣りになりそうだ。。そこで何かヒントがないかということでじっくりと観察することにしました。
■竿を置きじっくりと観察
●二つの群れがあることに気が付く
トウゴロウイワシの群れをじっくりと観察してみます。とにかく大量にいる群れを見ているときれいで飽きませんが、釣れるヒントがないかじっと見ていると、どうやら2種類の群れが存在することがわかりました。
全員が一方方向を向いて泳ぐ群れ
トウゴロウイワシの群れのほとんどがこちらの形態をとっているのですが、群れの全員が一方方向を向いてザーッと泳いでいきます。
この群れはゆっくりと泳いでいる後続の個体たちも前方の魚群に影響されてどんどんと一定方向に泳いでいきます。
バラバラな方向を向き定位している群れ
一方もう一つの群れは、各個体の向きに決まりはなくて前個体が各々の方向に頭を向けています。また、群れ自体が定位しており、それほど移動しません。
ここで一つの推測を立てました。前者は何かに追われたり、または周りの動きに感化されて『逃げる』という緊張状態で餌に見向きもしないのではないか?逆に後者はリラックス状態でこの群れなら口を使ってくれるのではないか?
■後者を狙う
●バラバラな方向を向いているのはリラックス状態だ!
トウゴロウイワシの2種類の群れの推測を立てたところで早速再度竿を手に取ります。
オキアミをできるだけ小さくちぎって後者の群れにやさしく投入してみると…なんと数匹が反応してくれるではありませんか!どうやら私の推測は合っていたようです!
しかし針掛かりするまでは深く食べてくれません。
■止めては見切られる
●リフトで誘って誘って食わせる!
トウゴロウイワシに何とか口を使わせようといろいろと試してみると、リフト、いわゆるオキアミがゆっくりと上へ動く動作に反応してくれることがわかりました。
そこでいったんある程度オキアミを沈めてからゆっくりと持ち上げます。しかし欲を出して食え!っと止めてしまうと見切られてしまうので(めちゃくちゃシビア!)、リフトで誘っては止めてまた誘っては止めてを繰り返します。
するとトウゴロウイワシの活性がどんどん上昇して追ってきた群れの1匹がついに口にくわえました!
あれ?トウゴロウイワシってこんなに綺麗やったっけ?ブルーの体側ラインが太陽光に反射して鮮やかに光りました!
魚のサイズがサイズだけにプルプルと簡単に釣れてしまいましたが、感無量でとっても嬉しかったです。
そして何より釣れたてのトウゴロウイワシは体側に入る一本の青いラインの美しさに驚かされました!
■本気で釣ろうとするとその魚がわかってくる
●口を使わせるということはその魚を知ることが重要
トウゴロウイワシに限らずにどんな魚が対象でもいえることですが、その魚に自分の仕掛けを口にしてもらおうとすることは、魚を知ること、そしてその魚のことを考えることと密接につながっています。
今回は本職が水族館飼育員である私の魚の見方、観察するスタイルをフルに使った釣行となりました。小さな魚ですがとても深い世界がトウゴロウイワシの群れの中には広がっていました。